月経困難症などに用いられる「ピル」。言葉は知っていても、どんな薬なのか知らない人も多いのでは? 今回は、産婦人科医の高橋幸子先生に、ピルで生理周期をコントロールする方法(月経移動)について伺いました。

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Q.ピルで生理日を変えられるって本当ですか? 変えたい日の直前に受診しても間に合いますか?

お話を伺うのは…
高橋幸子先生

性教育産婦人科医

高橋幸子先生

埼玉医科大学医療人育成支援センター・地域医学推進センター助教、埼玉医科大学医学教育センター、埼玉医科大学病院産婦人科助教を兼任。「サッコ先生」の愛称で、全国の小学校・中学校・高等学校にて年間120回以上の性教育の講演を行う。著書に『マンガでわかる!  28歳からのおとめのカラダ大全』(KADOKAWA)『自分を生きるための〈性〉のこと-性と生殖に関する健康と権利(SRHR)編』(少年写真新聞社)など。

A.本当です。早める、または遅らせる方法があります

大切なイベントの日に生理が当たらないように、低用量ピルや中用量ピルを使って生理周期コントロール(月経移動)することができます。中用量ピルとは、低用量ピルと比べて卵胞ホルモンの量が多く含まれるピルのことです。

周期を移動させる方法は、月経を「早める」方法と「遅らせる」方法の2種類。受診のタイミングは、余裕をもって生理と重なりたくない希望日当日の2カ月くらい前が理想的です。希望日当日の1週間前までに受診すればギリギリで間に合いますが、その場合は希望日の当日もピルを服用することになります。婦人科を受診するときは、下記についてメモを用意しておくとスムーズです。

●最終月経日(前回の月経が始まった日)
●月経周期
●次の月経が来る見込みの日
●月経が重なりたくない日
●月経を移動させたい希望日(月経がはじまっても大丈夫な日程)
●月経移動させたい理由

希望日や生理周期によって、ピルの種類や、月経を移動する方法について医師と一緒に決めていきます。内診(腟内の診察)はせず、問診だけなので安心してくださいね。

副作用の有無は体質にもよるので早めに受診を

大事なイベントのために1回だけ月経移動するなら、中用量ピルを使用します。例えば受験や海外出張などのように長期間にわたってコントロールが必要な場合は、半年くらい前から低用量ピルによる月経移動という選択肢もあるので、婦人科に相談してみましょう。

また、中用量ピルを服用する場合は副作用として吐き気が出ることがあります。ただ、服用してみないと吐き気が出る体質かどうかはわかりません。吐き気が出る人は稀ですが、嘔吐するくらいきつい吐き気を感じる人もいます。また、稀に血栓(血管の中にできる血液の塊)ができてしまうリスクがあります。

受診から希望日までの期間が短いときは月経を遅らせる方法を取りますが、希望日の当日もピルを服用している状態になるので、副作用が重なってしまう可能性があります。そのため、できれば2カ月前に受診して、ひとつ前の月経からずらすことをおすすめします。

構成・取材・文/国分美由紀 出典/『マンガでわかる!  28歳からのおとめのカラダ大全』(KADOKAWA)