子どもを持つこととキャリアアップ、両立したいと思うのは"わがまま"? シオリーヌ × つくし パートナー対談Vol.3「どうする? 育児の役割分担」_1

不妊治療を経て現在妊娠中の、助産師兼性教育YouTuberのシオリーヌさん。人気連載「シオリーヌのSAY(性) HELLO!」Vol.13からは、妊活の体験談や、妊娠してからの気づき、子育てについて今思うことなどを、パートナーのつくしさんを迎えて3回にわたって特集。ラストとなる今回は、お互いの役割や家事と仕事の両立について、つねに話し合いながら進んできた二人に、これから始まる育児について考えていることを聞きました。

つくし/TSUKUSHI●シオリーヌさんのパートナー。1997年生まれ、北海道室蘭市出身。看護師資格を有し、現在は医療系企業にも勤務。仕事柄、SRHR(性と生殖に関する健康と権利)やパートナーシップに関心あり。今夏、第一子を迎え入れるべく、最近は育児のお役立ち情報の収集に励む。

ジェンダーロールを取り払い、お互いが本当に得意なことを考える

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ーーまもなくシオリーヌさんはご出産を迎えますね。子育ての役割分担について、現時点でお二人はどのように考えていますか?

シオリーヌ 私は、法で定められた産休期間(産前約6週間、産後約8週間)だけ休んでからすぐ仕事に復帰するつもりで、つくしは1年間、育休を取る予定です。私は仕事が大好きなので、長期間働かずにいると、つらくなってしまいそうで…。

つくし 自分は逆に、家事のほうが仕事よりも好きだし、性に合っているんですよね。育休を取って子育てをメインで担うという状況も、今はすごく楽しみで頑張りたいなと思っています。

シオリーヌ お互いの得意不得意がぴったりマッチしているわけです!

ーー産後は特に多いであろう「女性がメインで子育てをして、男性は仕事をして稼ぐ」という状況とは違った形になるんですね。

シオリーヌ 結婚したばかりの頃は、自分たちがいわゆる「世間のジェンダーロール」から離れていることにモヤモヤしていたこともありました。我が家はつくしがおもに家事を担ってくれているけれど、最初の頃は「私ももっと家のことをしないとダメなんじゃないか」と申し訳なく思っていた。つくしはつくしで、「もっと稼がないといけないのでは」と悩んでいたと言ってたよね。

つくし うん、それを考えるたびにお腹が痛くなってた(笑)。別にシオリから何かを言われたわけでもないのに、一人で勝手に家庭の中で肩身の狭い思いをしていた時期がありました。「少なくとも相手と同じくらいは稼いで、一緒に家庭を運営していく状態が望ましいんじゃないのかな」って。

ーーそのモヤモヤは、どうやって解消していったのでしょうか?

シオリーヌ 二人で腹を割って話し合ったんです。「いったん、お互いの内在化しているジェンダーロールを取り払って考えてみよう」って。自分は何が得意で、何が苦手なのか。本当はどういうふうに生きていきたいと思っているのか。何度も会話を重ねるうちに、モヤモヤは少しずつなくなっていきました。

つくし そこをお互いに言語化できたからこそ、今、二人とも納得したうえで生活できているんじゃないかなと思っています。

子育てとキャリアアップ、どう両立させる?

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シオリーヌ 実は最近、今後のキャリアを考える中で「大学院に通ってもう一度ちゃんと勉強したい」という気持ちが芽生えてきたんです。でも、「これからお母さんになろうとしている私が、自分のやりたいことやキャリアアップを優先して学生になる、というのは許されることなのだろうか?」と不安にもなりました。それを実現するためには、どうしたってつくしに全面的に協力してもらわないと無理だから、ものすごくわがままな望みなのかもしれない。だから、「大学院に行きたい」と打ち明けたときは緊張しましたね。

つくし そうそう、急に改まった態度で「ご相談があるのですが…」って切り出されて、ちょっとびっくりした(笑)。でも、結婚したときからシオリのキャリアは全力で応援したい、と思ってきました。だから、そのことに申し訳ないと感じないでほしいなと。

シオリーヌ 子どもを産み育てることとキャリアアップ、私はどうしても両方あきらめられなかったんです。でもそんな葛藤の中で、ふと「世の中のお父さんたちがキャリアについて考えるとき、いったいここまで悩むだろうか?」とも思いました。

ーー母親がおもに育児を担うことが前提で、父親のキャリアアップが可能になっているケースはよくありそうですよね。

シオリーヌ そうですね。現状はその構造がすごく多い気がしています。でも、自分自身が子育てと仕事の両立に悩む中で、世のお父さんたちは、そのことに対して申し訳なさと多大なる感謝をしたうえでキャリアアップをしているんだろうか…、と考えてしまって。パートナーに対して、「そういうものだから」と相手の貢献を当たり前に考えるのではなく、「どういう協力をしてほしいか」をきちんと説明して、お互いに納得したうえで進めていくべきことだよな、と気づかされたんです。

つくし 大事なのは、人生の局面を迎えるたびにパートナーと話し合いの場を設けること、その中で、いかにお互いが調整していけるかだよね。

心の中で思うだけではなく、言葉にして伝えること

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シオリーヌ 私とつくしも、ここまで来るのには時間がかかった。本当に自分たちが心地よくいるためにはどうすればいいのか、何度も相談しながらちょうどいい関係性を見つけてきたような気がします。

つくし 最初は「話し合える関係性をつくる」というのが、そもそも難しかったね。

シオリーヌ めっちゃケンカしていましたね(笑)。

つくし 自分はもともと話し合いをするのが苦手だったんです。怒られたり責められたりするんじゃないかと思って、意固地になっていたところがあります。

シオリーヌ 私が話し合おうとすると、押し黙ったり不機嫌になっちゃったりしてた…。

ーー今のお二人からは意外に思えます! そこからどうやって話し合いができるようになったのでしょう?

つくし 自分の気持ちを思い切って打ち明けても、怒られたり責められたりしない、ということがわかったからでしょうか。「あなたを傷つけるつもりはまったくない。これからも二人が一緒にいるために話し合うんだよ」と受け止めてくれたことが大きかったですね。だから、自分の稼ぎが少ないことにコンプレックスを感じていたことや、物事をスケジュール通りに進めるのが苦手だということも、素直に話して解決策を一緒に考えてこれたんだと思います。

シオリーヌ 私は私で、「話し合い=責めたり怒ったりすることではない」というのを、心の中で思っているだけでなく、ちゃんと言葉にして伝える必要があるんだなと学ばせてもらいました。お互い「自分の考えを言っても大丈夫なんだ」という信頼関係をつくっていくことで、穏やかに向き合える土壌ができたんだと感じます。

つくし そこから、ケンカそのものが減ったし、したとしても長引かなくなった。こつこつ積み重ねてきた成果が出てきている気がするね。

シオリーヌ 本当に、話し合いにも訓練が必要なんだって実感する!

ーー「一朝一夕」にできることではないからこそ、日々向き合っていくことが大切なんですね。とても参考になるお話、ありがとうございました! 

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次回からは、産休に入るシオリーヌさんに替わり、「つくしさんから見た子育て特集」を予定しています。お楽しみに!

シオリーヌ

助産師/性教育YouTuber

シオリーヌ

総合病院産婦人科、精神科児童思春期病棟にて勤務ののち、現在は学校での性教育に関する講演や性の知識を学べるイベントの講師を務める。また、性教育YouTuberとして性を学べる動画を配信するほか、オンラインサロン「Yottoko Lab.」運営。著書に『CHOICE 自分で選びとるための「性」の知識』(イースト・プレス)、『こどもジェンダー』(ワニブックス)、新刊『やらねばならぬと思いつつ〈超初級〉性教育サポートBOOK』(Hagazussa Books)など。

撮影/山根悠太郎 取材・文/板垣千春 企画・編集/種谷美波

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