自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。 

男性器のギモン48

Q48.おしっこの後に残尿感があるのは何かの病気ですか?

48個目のギモンは、【おしっこの後に残尿感があるのは何かの病気ですか?】。おしっこをしっかり出し切ったはずが、なんとなく膀胱にムズムズとした残尿感…。まだ出そうな気がする、とスッキリしない気持ちを抱えたまま日常を過ごすのはなんだか心配! おしっこが残っているような感覚が病気である可能性は?

A48.実際に尿が残っているかどうかにもよります

小堀先生残尿感には、実際に尿が残っていないのに残尿を感じるもの・おしっこをした後に尿が残ってしまうものの2パターンあり、それぞれ原因が異なります。

まず前者は、膀胱や尿道の知覚的な異常が原因。「まだ出そうな気がする」と感じるのがまさにそうで、尿道炎や慢性前立腺炎でよく見られる症状です。特に性前立腺炎は20〜40代の若い世代にも多く、頻尿や排尿時の痛み、強烈な尿意、尿の勢いが低下するといった症状が出ます。しかし炎症がなくても残尿感が症状として出るケースが多々あり、原因が明らかにされないことも…。一般的には抗菌薬や抗炎症薬などで治療を行いますが、残尿感がなくなるまでには時間がかかります。

そして後者のようにおしっこを出しきれず残ってしまうパターンは、可能性として前立腺肥大症が考えられます。前立腺が大きくなると膀胱や尿道を圧迫するため、残尿が増えやすくなるのです。ただ前立腺の病気は50代以降のシニア世代に多く、30代くらいの若い世代に起こることはほぼありません。

あとは精神的なストレスが原因となることにより、慢性前立腺炎の症状が悪化して、残尿や頻尿の症状があらわれる場合も。残尿感だけならそこまで神経質に気にする必要はありませんが、あまりに続いて気になるようであれば泌尿器科を受診するといいでしょう。

残尿感

小堀善友(こぼりよしとも)先生

プライベートケアクリニック東京・東京院 院長

小堀善友(こぼりよしとも)先生

日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。

取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)