【女性器のギモン50問50答】おりもの、生理、セックス、産後…。女性器にまつわるお悩みに産婦人科医がアンサー!_1

自分の体のことを知っておくことは、健やかな暮らしのためには大切なこと。膣の構造、おりものや生理の悩み、セックスや出産のこと…。あなたはどれくらい知っていますか? 女性器にまつわる素朴な疑問から日常的な不安まで、吉本レディースクリニック院長・吉本裕子先生にお答えいただきました。

吉本裕子(よしもとゆうこ)先生

吉本レディースクリニック院長

吉本裕子(よしもとゆうこ)先生

産婦人科医。日本専門医機構認定専門医。高知医大(現・高知大学医学部)卒業。金沢大学付属病院、富山市民病院を経て現職。NPO法人女性医療ネットワーク理事、富山市医師会理事、性暴力被害ワンストップ支援センター富山協力医師、女性被害者支援ネットワーク医師、富山大学人間発達科学部附属中学校評議員。吉本レディースクリニックは、病気治療だけでなく、女性の人生に寄り添い、心身の拠り所となるクリニックとして定評がある。『Rp.+(レシピプラス)VOL.21 NO.1 2022冬「ホルモンとくすり」』(南山堂)共同執筆。

女性器のお悩み

Q1:腟=女性器という認識で合っていますか?

A:外陰部から腟、子宮、卵巣までのすべてを含み「女性器」と呼びます

吉本先生:腟は女性器のほんの一部です。デリケートゾーンやフェムゾーンと呼ばれるのは「外陰部(外性器)」のことで、体内にある膣、子宮、卵巣は「内性器」にあたります。複雑な構造をしているうえに、自分の性器を日常的に見ることはないかもしれませんが、全体がどのようになっているかきちんと知っておくとよいでしょう。

女性器の構造

【内性器】
・卵巣(らんそう)…卵子が入っている、子宮の両側にある臓器。親指大くらいの大きさでアーモンドのような形をしている。 
・卵管(らんかん)…子宮と卵巣をつなぐ7〜12cmほどの管。卵子や受精卵の通り道。
・卵管采(らんかんさい)…卵管の先端にあるイソギンチャクのような部分。卵巣から出た卵子(排卵)をキャッチして卵管に送り、卵管内で精子と出会うのを待つ。
・子宮(しきゅう)…洋梨を逆さにしたような形をした、筋肉組織でできた袋状の臓器。受精卵を守って育てる役割があり、妊娠中は胎児を育むベッドとなるため大きく変形する。
・子宮内膜(しきゅうないまく)…子宮の内側を覆う粘膜。卵巣から分泌されるエストロゲンの作用を受けると、受精卵の着床に備えて分厚くなるが、妊娠しなければはがれ落ちる(生理)。
・子宮けい管(しきゅうけいかん)…子宮の下側1/3ほどにある、膣と子宮内腔をつなぐ筒状の部分。通常は内部を酸性に保って雑菌の侵入を防ぎ、排卵期はアルカリ性に変わって精子を子宮内に招き入れやすい状態にする。
・腟(ちつ)…腟口から子宮頸管をつなぐ6〜8cmほどの器官。 筋肉組織でできており、出産時には拡張して産道となる。常在菌が腟内を酸性に保つことで外からの雑菌の侵入を防ぐ。子宮からの月経血や粘液を排出する役割がある。
・腟壁(ちつへき)…腟の内側を覆う粘膜。人によってはヒダ状になっていることも。加齢や出産により腟壁がゆるむと、水が入りやすくなる。

【外性器】
・腟口(ちつこう)…外陰部にある腟の入口で、尿道口の下に位置する。月経血や粘液の排出口であり、セックスの際は男性器の挿入口となる。
・会陰(えいん)…膣口から肛門までの間の部分。出産時には伸び広がるが、ここを切開して赤ちゃんを取り出すことも。
・外尿道口(がいにょうどうこう)…クリトリスと腟口の間に位置する、尿が排出される部分。小陰唇の内側にある小さい穴のため、肉眼ではほぼ見えない。
・クリトリス/陰核(いんかく)…左右の小陰唇が交差する位置にある突起部分。男性器と似た構造で、神経組織と血管が集まっている。通常はほとんどが包皮に覆われているが、興奮すると勃起して包皮が剥けて露出する。
・小陰唇(しょういんしん)…大陰唇の内側にある、左右2枚のヒダ状の皮膚。尿道口や腟口を保護する役割があり、摩擦で黒ずみやすいことが特徴。「びらびら」と呼ばれることも。
・大陰唇(だいいんしん)…小陰唇を包む、柔らかくふくらんだ皮膚。外性器の一番外側の左右にあり、アンダーヘアが生えている(Iゾーン)。汗腺や皮脂腺があり、においの発生源にもなりうる。

Q2:自分の外陰部を見ることに抵抗があります……。

A:見るよりも、触ることで自分の構造を知ることが大事

吉本先生:外陰部は構造を知っておくことが大事であって、必ずしも見なくてはいけないわけではありません。外陰部の図などを見ながら手で触ってみて、「ここはこういう構造になっているのか」と自分の外陰部を把握してみましょう。
ただし、できものやかぶれといった変化が生じたときは見て確認したほうがよいです。外陰部のどこに変化があるのか触れてみたうえで、鏡を使ってセルフチェックしてみましょう。陰毛が生えていると自分では見えづらいと思うので、痛みやかゆみがあって心配なときは婦人科へ。

外陰部の構造

Q3:小陰唇の色や形が変かも。何を参考に比べたらいいですか?

A:肌や髪の色と同じように個性ととらえ、持っているものを受け入れましょう

吉本先生:気にしすぎないでOKです。というのも、色の黒ずみは基本的には女性ホルモンの状態によるものであり、かなり個人差があるから。乳首の色も同様で、年齢やホルモン量によって変わります。
また、形も人によって大小さまざま。私は普段たくさんの人を診察していますが、よっぽどじゃない限りはおかしいと感じる点はありません。どうしても気になるなら、第三者の意見を聞く意味でも、婦人科で診てもらうとよいかもしれませんね。

Q4:小陰唇が大きすぎることで、悪影響はありますか?

A:日常生活で困ることがなければ問題ありません

吉本先生:大きすぎる…というのが気にしすぎである場合は多いものの、治療を行うかどうかはご本人次第。私の場合、患者さんが日常的に困っているならば治療の提案をしますし、とくに困っていなければ、そのままでいいのではないかという話をします。
小陰唇を小さくするには縮小手術を行いますが、切除してから傷口が塞がるまでは痛みで座るのもつらいです。治療を受けるにしても、日常生活への影響を慎重に考えましょう。

Q5:デリケートゾーン用ソープは使ったほうがよいでしょうか?

A:ぜひ使ってください!

吉本先生:外陰部は非常に皮膚が薄いので、ボディソープだと刺激が強すぎて乾燥の原因に。そもそも婦人科の間では、ぬるま湯で優しく洗う程度でも十分とされているのです。それだけではさっぱりした感じがしないという人は、弱酸性のデリケートゾーン用ソープを十分に泡立てて洗いましょう。

Q6:外陰部の正しい洗い方がわかりません!

A:自分の外陰部の構造をきちんと知ったうえで洗いましょう

吉本先生:大切なのは、自分の外陰部の構造を知ったうえで正しい洗い方を身につけること! 外陰部の構造を知らない&何も考えずにサッサッと洗ってしまっては汚れがきれいに洗い流せず、乾燥やかぶれなどの肌トラブルを引き起こすことも。
以上を踏まえた基本の洗い方は、アンダーヘア、尿道口、膣口、会陰、肛門と前から後ろに向かって“指で優しくなで洗い”です。小陰唇の裏側は垢や汚れがたまりやすいので、めくって丁寧に洗います。膣内や粘膜部分は過度に洗わないよう気をつけましょう。

Q7:外陰部をオイルやミルクで保湿する必要はありますか?

A:触ってみてカサカサしているときは保湿ケアをしたほうがベター

吉本先生:外陰部は汗や皮脂の分泌量が多く、粘膜が近くにある部分。下着などでつねに覆われていることもあって湿度や温度が高まって蒸れやすい環境なので、とくに保湿ケアを意識しなくても問題ありません。
ところが、頻繁に摩擦ダメージを与えてしまったり、VIO脱毛後でアンダーヘアが少なかったりすると、肌のバリア機能が低下して乾燥しやすくなるのです。触ってみてカサカサと乾燥したような手触りがあれば、デリケートゾーン用のローションやオイルなどでうるおいを与えましょう。かゆみや痛みを伴う場合は別の症状の可能性があるので、皮膚科や婦人科で診てもらってください。

Q8:お風呂のあと、腟からドバッと水が出ることがあるのはなぜでしょうか?

A:骨盤底筋群の筋力が低下し、膣口が広がりやすくなっているから

吉本先生:腟に水が入るのは、膀胱や子宮、大腸、小腸、尿道などの臓器をハンモックのように支える“骨盤底筋群”の筋力が低下していることがおもな原因。日頃の姿勢不良や日常動作、出産、加齢などのあらゆる影響を受けることで低下し、腟がゆるんでしまっているのです。
また、入浴時に足を上げて座るのはお産と同じような姿勢になるため、膣口が広がりやすくなって水が入ることもあると思います。座り方的に水が入ってしまうのはある程度は仕方ないとして、骨盤底筋を鍛えて腟を締める練習をすれば対策できるはずです。

入浴の姿勢

Q9:外陰部にかゆみがあるのですが、どう対策したらよいですか?

A:まずは保湿をして、皮膚を乾燥させないように!

吉本先生:清潔を保とうとするあまり外陰部を洗いすぎたか、おりものの付着で皮膚が荒れることで乾燥するパターンのどちらかが多いです。そのため、かゆみを感じたらまずは保湿してみるとよいでしょう。日頃からウォシュレットやボディソープで洗いすぎないよう心がけ、そもそも乾燥させないようにするのがポイント!
それでもよくならない場合は、細菌感染によるかゆみの可能性があります。このかゆみは炎症が起こっているので、婦人科で塗り薬を処方してもらうなど適切な治療を受けてください。市販の塗り薬だと、かゆみはおさまっても炎症までは治せない場合があります。

Q10:腟洗浄器を使うベストタイミングを教えてください。

A:においや不快感が気になるときに。ただ、基本的には使わなくてOK

吉本先生:腟は自浄作用が備わっているため、腟内を洗おうとしなくても大丈夫です。そもそも腟は複雑な構造をしているため、たとえ婦人科で適切に腟洗浄を行なったとしても完全にきれいにはなりません。かつては診察前に腟洗浄をすることもありましたが、腟内の常在菌を落としすぎないためにも、現在は不必要な腟洗浄はしない風潮になってきているのです。
しかし、においや不快感が気になってしまい、シャワーや温水洗浄便座のビデを使って頻繁に洗ってしまう人も多いと聞きます。雑菌繁殖リスクの高い水道水で洗うくらいならば、乳酸菌配合の腟内洗浄アイテムを使っていただくほうがいいと思います。乳酸菌配合や弱酸性であれば、腟内環境のバランスを乱さずに済むからです。おりものや生理の血がなかなか全部出てくれないときに使えば、腟口あたりに残っている液体と一緒に流れて、スッキリと出しきることができるかもしれませんね。

Q11:腟内フローラって何ですか?

A:腟内に存在している細菌の集まりのこと

吉本先生:腟内には“デーデルラインかん菌”という乳酸菌のほか、ブドウ球菌、カンジダ菌、カビ菌などのあらゆる細菌が共存しています。それらが集まった姿がお花畑=フローラのように見えることから、腟内フローラと呼ばれています。善玉菌と悪玉菌がバランスよく働いて均衡を保っているのが、正常な状態です。
善玉菌である“デーデルライン桿菌”はグリコーゲンを産生し、おりものによって腟の自浄作用をもたらしてくれます。ところが体の抵抗力が落ちてバランスが乱れると、悪玉菌であるカビ菌などの雑菌が活性化し、かゆみや細菌感染症を引き起こしてしまいます。腟内フローラを整えるには、食事内容や生活習慣を見直し、デリケートゾーンに過剰な刺激を与えないことが大切です。

Q12:腟に空気が入って音が鳴ります。おかしいのでしょうか?

A:おかしくないです!

吉本先生:食事のあとにゲップが出るのと同じで、腟に入り込んだ空気が体勢の変化によって漏れ出るのは自然なこと。なにもおかしくないですよ。骨盤底筋群が弱って腟に空気が入りやすくなることもあるため、気になる方は骨盤底筋を鍛えてみるのもいいと思います。

Q13:腟と尿もれの関係性はありますか?

A:関係あります!

吉本先生:尿道口と膀胱は骨盤底筋群とつながっているため、骨盤底筋が弱くなって膣がゆるむと尿もれしやすくなります。骨盤底筋が弱くなる大きな原因は、腹圧をかけること。姿勢が悪い状態で長時間座り続けることのほか、咳やくしゃみ、重いものを持ち上げるといった日常的な動作で多少なりとも腹圧がかかるのです。これらは、尿もれしがちなシーンとも共通していますよね。
たまに「ウェイトリフティングで筋トレしているから自分の骨盤底筋は鍛えられている」という人がいますが、これは間違い! 腹筋を使う動作は腹圧がかかってしまうため、骨盤底筋を鍛えられません。

Q14:腟や外陰部に異常を感じたとき、まずはどこに相談すべきでしょうか?

A:産婦人科・婦人科へ

吉本先生:外陰部のできものの場合は皮膚科でも治療はできますが、粘膜まで異常が及んでいる可能性も踏まえると、腟の診察ができる産婦人科や婦人科にかかるのがよいでしょう。

Q15:婦人科にかかる患者さんに多い、女性器のお悩みは?

A:おりものに関するお悩みです

吉本先生:婦人科に来院するのは、おりもののお悩みを抱えている人がほとんど。おりものの量やかゆみ、おりものがいつもと違う、パートナーからにおいを指摘された…など、客観的視点を求めて受診される人も。自分では普通だと思っていても、実際に診察してみるとおりものに異常があるパターンもよくあります。
異常があるかどうかは、色と質感で判断できます。いつもより黄色い、生理期間ではないのに出血がある&茶色っぽい、ポロポロとカッテージチーズ状をしている。これらは感染を起こしている場合が多く、薬によって治療できます。
なお、閉経後に、女性ホルモンの低下が原因で膣の壁が乾いてただれてしまう萎縮性膣炎を起こしていると、おりものによる自浄作用が働かず、かゆみ症状が出たり感染を起こすことも。デリケートゾーンに違和感がある人は、迷わず婦人科を受診していただきたいですね。

Q16:婦人科ではどんな治療が受けられますか?

A:腟や月経に関するトラブルや不安、全般に対応できます

吉本先生:診察と問診で腟や子宮の状態をチェックし、相応の治療を行います。投薬で治療可能な場合が多いですが、そのほか、膣炎、膣下垂、性交痛をやわらげるレーザー治療(モナリザタッチ)、高度な膣下垂、子宮脱の治療や小陰唇、腟のポリープや腫瘍の切除といった外科的手術もあります。いずれも病気の可能性があれば保険適用、特になければ自費治療となるため、費用や日常生活への影響を考えたうえで治療をご相談いただくとよいと思います。

おりもののお悩み

Q17:おりものは何のために出るのでしょうか?

A:自浄作用のほか、さまざまな役割があります

おりものの分泌

吉本先生:おりものは子宮、腟壁、汗腺などから分泌物が混ざり合って腟外に出てくるものです。腟内の健康を保つ自浄作用がおもな役割とされることが多いのですが、性行為の際に潤滑油として分泌されたり、排卵時期に子宮頸管から分泌されるものは精子が腟中に入りやすくして受精の手助けをしたり、さまざまな役割があるのです。婦人科ではこれらを総称しておりものと呼んでいます。

Q18:体調やメンタルが変化すると、おりものにも変化がありますか?

A:あります!

吉本先生:生理前、排卵日など時期によっておりものの粘度や質が変わるように、体調やメンタルの状態による変化もあります。よくあるのは、ストレスや疲労によって量が増えること。また年齢によっても変わるので、その時々のおりものの状態を知っておくのが大切です。
また性病や感染症にかかっているとかゆみや色の変化、血が混じるといったことがあります。腟や外陰部が蒸れてカンジダ腟炎になると、ポロポロと白っぽいカスのようなおりものに。おりものの変化はこまめにチェックしておき、違和感があれば婦人科で薬の処方や適切な治療を受けましょう。

Q19:おりものの量が多いのですが、減らす方法はありますか?

A:残念ながらありません

吉本先生:量の多さは個人差があり、時期や体調によっても異なるので、おりものを減らす方法はないんです。日常で困るほどの量は出ない人もいれば、下着が濡れるほどの量が出る体質の人もいます。対策としてはパンティライナー(おりものシート)や下着をこまめに変えて、不快感をなくすことです。

Q20:おりものの量が多いけど、パンティライナーは蒸れるので苦手。対策法はありますか?

A:通気性のいい綿素材のショーツをはいてみる

吉本先生:パンティライナーは液体が漏れ出ないように作られている反面、通気性が悪くてどうしても蒸れやすいもの。蒸れるのが気になるならパンティライナーを着けずに、通気性のいい綿素材のショーツをはいてみるのはいかがでしょうか。ただ、おりものが付着したショーツをはきつづけるのは外陰部のかぶれやかゆみの原因になり得るので、ショーツが濡れたらその都度取り替えるのが理想的です。
ショーツを取り替えることにも抵抗があるなら、パンティライナーを使い捨ての布製にしてみたり、腟口に直接あてがって使う「ソフィ シンクロフィット」で漏れ出るのを防いでみたり、色々工夫してみて自分なりに快適な方法を見つけてみましょう。

Q21:下着を汚したくないので、つねにおりものシートをつけています。問題はないですか?

A:長時間つけっぱなしにしなければ問題ありません

吉本先生:たとえ汚れなくても、汗がシートに吸水されているはずです。そのままつけつづけると雑菌繁殖の原因になりますが、こまめに取り替えて清潔に保てば問題ありません。ただし、肌が弱い人はシートの素材で外陰部の肌トラブルが起こることがあるので注意! 外陰部を触ってみてヒリヒリしたり、ざらざらと乾燥したような手触りがあったりするとかぶれているサイン。その場合はすぐにシートの使用を中止して、保湿ケアや塗り薬で対策しましょう。
おりものシートは種類が増えるにつれてSNSやメディアで目にする機会も増えて、つけるのがエチケットと思われがちですよね。でも、そもそもおりものは少なからず下着についてしまうものですし、昔はおりものシート自体が流通していませんでした。下着を清潔にすることに執着するあまり、シートをつけて外陰部がかぶれてしまっては本末転倒。下着は汚れても洗えば済むけど、肌のかぶれは治るまでに時間がかかります。洗濯機に入れる前に手洗いしておけば下着の汚れが残ることはないはずなので、自分の肌にとって何が最善策か考えてみてください。

Q22:おりもののにおいが気になります。対策を教えてください!

A:おりもののにおい自体は消せないけど、アイテムを試せば対策できるかも

吉本先生:腟内は細菌などが入り込まないように酸性に保たれており、その影響でおりものはやや酸っぱいにおいがします。そこに汗も混ざって分泌されているので、おりもののにおいは体質によって人それぞれと考えるのが大前提! おりもののにおい自体を消すための改善策はありませんが、アイテム次第では分泌したあとのニオイを気にならないようにすることはできそうです。
香りつきのおりものシートを使うほか、外陰部をクレンジングワイプで拭けば汗による蒸れがスッキリして爽快感が得られるはず。最近は腟内フローラを整えるために乳酸菌入りのビデやサプリが話題なので、膣内環境を整えてみるのも手かもしれません。細菌感染を起こしておりものの色やにおいがきつくなっている場合は、薬による治療が有効です。アイテムを試してもにおいが気になる人は婦人科でご相談ください。

生理のお悩み

Q23:生理中にナプキンでかぶれるのが悩みです。予防法はありますか?

A:月経カップや布ナプキンを使ってみる

吉本先生:肌が敏感で外陰部がかぶれやすいのであれば、タンポンや月経カップ、布ナプキンを使うといいかもしれません。ただしタンポンは長時間入れっぱなしにすると感染の原因になるのでこまめに交換しましょう。あとは、ナプキンでかぶれたとき用の塗り薬を常備薬として持っておけばすぐに対処でき、生理期間中も安心して過ごせると思います。実際、患者さんで塗り薬をもらうために来院される人はけっこう多いですよ。市販薬はかゆみは抑えられても、炎症は抑えられないものが多いので、市販薬で改善しない人は婦人科で処方してもらいましょう。

Q24:生理中のにおいを抑えたいのですが、よい方法はありますか?

A:においを軽減するナプキンなど、サニタリー用品で工夫を!

吉本先生:おりもののにおいについてお答えしたのと同様に、体外に出たあとの経血にはサニタリー用品で対応するのが得策です。経血は排出されて空気に触れると15分程度で酸化が始まり、時間が経つにつれて雑菌が繁殖してにおいが発生します。そのため、まずはこまめにナプキンを取り替えることが大切! ナプキンは消臭効果のあるものを活用し、蒸れを防ぐためにも通気性のいいサニタリーショーツを選びましょう。月経カップを使うと経血が酸素に触れるのを防げるので、こまめにトイレに行けない人は活用してみるのもいいと思います。
なお、魚が腐ったような悪臭があるときは腟炎を起こしている可能性があるので、婦人科で薬を処方してもらうといいでしょう。

Q25:タンポンや月経カップが入りません…。どうしたらよいでしょうか?

A:自分にとってスムーズに入りやすい体勢を探してみて

吉本先生:タンポンや月経カップが入らない人は、自分の腟にとって入りやすい角度を知るのが先決です。口を指で広げて入れやすくしたり、入れる際の力の抜き方を工夫したり、入れやすい体勢を探してみるのも大事。アプリケーターを使って挿入するのではなく、カバーをつけた指で直接挿入するタイプのフィンガータイプタンポンや指用のコンドームを使って挿入してみるとやりやすいかもしれません。

Q26:膣の入口がまっすぐじゃないため、タンポンを斜めに入れています。構造的に出産時などのリスクはありますか?

A:特にありません

横から見た女性器の構造

吉本先生:腟内は垂直ではなくやや斜め上を向いています。そのため腟口に対して斜めに入れたとしても、経血が大量に漏れ出ることがなければ入れ方は合っているはず。そもそも、卵巣や子宮の位置によっては腟内が圧迫されていたり、膣口が大腸側に寄っていたり、腟口や膣の向きは人によってバラバラなんです。これによる出産時のリスクは特にありませんが、妊娠中は筋腫の影響で卵巣や子宮頸管がねじれて腹痛を伴うことも。しかし、出産までは婦人科を受診していれば異常をすぐに見つけて対処するので、不安を感じたら医師に相談してくださいね。

Q27:生理痛がつらいとき、市販の鎮痛剤をすぐに飲んで大丈夫でしょうか?

A:痛みはじめたらすぐに飲んだほうが効果的です

吉本先生:女性の体は、排卵期に子宮内膜が分厚くなって妊娠しやすい状態となります。妊娠が成立しなかった場合、分厚くなった子宮内膜がはがれ落ち、血液とともに体外に排出されるのが生理(月経)です。そして子宮を収縮して排出しやすくさせるために、月経直前からプロスタグランジンという痛み物質が急増。これが生理痛を招く原因のひとつです。
はがれた子宮内膜の量が多かったり、冷えなどで子宮口が狭く硬くなっていたり、痛みをずっと我慢しつづけていると、プロスタグランジンが大量に生成されて痛みを増加させてしまいます。こうなってからでは鎮痛剤の効果が現れにくくなるため、痛みを感じはじめたらすぐに服用するほうがいいのです。早めに服用すればプロスタグランジンの生成を早めに抑えることができます。
プロスタグランジンの生成を抑える薬はロキソプロフェン、イブプロフェンなど、NSAIDsといわれる非ステロイド性の消炎鎮痛剤です。市販でも入手できますが、自分の体に合うものを適切に選ぶためにも薬剤師や医師に相談することをおすすめします。

Q28:生理痛がものすごく重いです…。婦人科でどんな治療をしてもらえますか?

A:薬による治療を行います

吉本先生:生理痛により日常生活に支障をきたしている人は、「月経困難症」といって保険治療の範囲内。患者さんの症状に合わせた薬による治療が中心となります。代表的なものとして、鎮痛剤やホルモン剤で痛みの緩和や月経周期を整えるほか、抗不安薬を用いたPMSやPMDDといった精神的な症状の軽減、漢方薬や利尿剤などを合わせて処方して冷えやむくみの改善を促すといった治療を行います。
ただし、これらは「機能性月経困難症」に分類される症状。月経困難症のなかでも「器質性月経困難症」の場合は、子宮内膜症や子宮筋腫など、痛みの原因となっている病気の治療が必要です。薬の治療以外に外科的手術の必要性が出てくることもあるので、生理痛が重いと自覚している人は迷わず婦人科を受診してくださいね。

Q29:病気を疑うべき生理痛はどんな状態ですか?

A:女性ホルモンと年齢の変化でかかりやすい病気のリスクも変わります

吉本先生:10〜20代前半は「機能性月経困難症」と呼ばれる痛みで、月経の初日および 2 日目頃の出血が多いときに強く、おなかがギューッと周期的に締め付けられるような痛みです。原因は出産前は子宮の口が狭いのにもかかわらず、月経血に混ざって子宮を収縮させるプロスタグランジン(PG)という物質が出るために子宮が過剰に収縮するのが原因といわれています。「機能性月経困難症」は出産後には軽快する場合が多いです。過度な生理痛は「器質性月経困難症」といって病気が隠れている可能性があり、子宮内膜症、子宮筋腫、チョコレート嚢胞などは20〜30代の若い世代に増えています。簡単なセルフチェックは以下のとおりです。

・うずくまるほど痛みが強い
・鎮痛剤が効かない
・排便時に肛門の奥が激しく痛む、性交時に膣の奥が痛む
・経血の量が多くナプキンを短時間で取り替えている
・赤黒いレバーのような大きな血のかたまりが出る
・生理が10日以上ダラダラ続く
・以前に比べて明らかに痛みが悪化している


30代後半〜更年期に差し掛かると加齢により女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が低下し、生理痛が軽くなる傾向に。しかし、人によっては更年期のような不調が起こり、卵巣の老化が少しずつ進んで卵巣の病気が増え始める時期でもあります。年齢とホルモンバランスの変化で疑うべき病気も変わってくるので、婦人科への定期検診はとても大切なのです。

デリケートゾーン(V、I、O)の毛のお悩み

Q30:VIOの毛の自己処理で肌が荒れてしまいます。正しいケア方法は?

A:自己処理をやめるか、塗り薬で対処を

吉本先生:アンダーヘアが気になる気持ちはわかりますが、肌が荒れてしまうなら自己処理はおすすめしません。外陰部は自分で見るのが難しい位置にあるうえに構造も複雑ですし、アンダーヘアをそると毛根が毛穴に埋もれて、毛嚢炎を起こすことがあります。炎症が起きてしまうとかゆみ症状が出たり、チクチク痛みがあったり、治るまでに時間がかかってしまうのです。どうしても自己処理したいなら、そのあとに傷薬を塗るなどして肌荒れしないように対策するよう心がけたり、そるのではなく刃が肌に触れないすきカミソリでボリュームを減らすなどの方法も検討してみてください。

Q31:VIOの毛をなくす・減らすことのデメリットはありますか?

A:肌がショーツに直接触れることによる不快感があるかも

吉本先生:汗やおりものから肌を守ってくれる毛がなくなると、ショーツと肌が直接触れ合うことでかぶれやすくなる可能性が。ショーツにピタッと肌がはりつく感覚が苦手に思う人もいらっしゃいます。

Q32:VIOの毛をなくす・減らすことのメリットはありますか?

A:蒸れにくくなり、不快感が軽減!

吉本先生:蒸れにくい、外陰部にできものができたときに見つけやすいといったメリットがあります。衣類のなかった太古の時代とは違って、現代は下着が肌を守ってくれるので、アンダーヘアがなくなること自体に問題はないです。

腟トレ&腟マッサージのお悩み

Q33:腟トレはしたほうがいいですか?

A:腟のゆるみが気になるなら取り入れてもいいと思います

吉本先生:「腟トレ」とは腟そのものを鍛えるのではなく、骨盤底筋を鍛えるトレーニングのこと。将来的に尿もれを防ぐ効果も期待できるので、時間がある人は日常的に取り入れてもいいと思います。最近は腟トレグッズが豊富で手に入りやすいので、アイテムを使ってみるのもおすすめです。腟内に専用のボールを入れるトレーニングは昔からあり、骨盤底筋を鍛えるにも効果的とされています。できているつもりで全く違うトレーニングをしてしまっては意味がないので、正しいやり方を理解したうえで行いましょう。

Q34:骨盤底筋をきちんと動かせているか、チェックする方法を教えてください。

A:肛門をキュッと締めて、10秒間指を挟んでみましょう

吉本先生:肛門に指を軽くあて、肛門をキュッとしめます。そこから10秒間、指を挟んだ状態をキープできれば骨盤底筋をきちんと動かせていますよ。肛門を絞めつづけられない人は、骨盤底筋が弱まっている証拠です。

Q35:骨盤底筋トレーニングのやり方が知りたいです。

A:yoiの記事を参考に実践してOK

吉本先生:医学的に正しい方法はこれといったものがないため、yoiの記事で紹介しているやり方を参考に実践して問題ありません。ひとつだけポイントを挙げるとすれば、腹圧がかかると骨盤底筋がゆるむことを念頭に置きながら行うとGOOD!

Q36:セックスは腟トレになりますか?

A:セックスよりも日常で習慣化しやすい腟トレをしてみては?

吉本先生:膣への挿入によるセックスは、腟をゆるめて男性器を受け入れる行為です。挿入後のピストン時に腟をキュッと締めることを意識すれば、骨盤底筋のトレーニングにつながるかもしれませんが…確証はありません。正常位は出産時と同じ体勢なので腟がゆるみやすいし、騎乗位なら腟が締まりやすいかといったら、そういうわけでもないのです。セックスで腟トレをしようと思わず、筋トレのように日常で習慣化しやすい方法を選ぶことをおすすめします。

Q37:腟マッサージにはどんな効果がありますか?

A:医学的な効果は認められていませんが、セルフケアの一環として取り入れてみてもいいかも

吉本先生:腟マッサージをすることで医学的に健康的効果があるとは言いがたいのですが、自分の体の構造を知るきっかけになったり、保湿を兼ねたケアとしてするのあれば、必要に応じてやってみるのもいいでしょう。出産前に外陰部〜会陰にかけてマッサージすれば筋肉の緊張がほぐれ、出産時の負担が軽減されるのは多少期待できるかもしれません。
個人的には誰もが腟マッサージをする必要はないと思いますが、自分がリラックスできたり、何かしらの効果を感じるならばしてもよいと思います。

Q38:腟マッサージの正しいやり方はありますか?

A:腟トレ同様、yoiの記事を参考に!

吉井先生:痛みに耐えてまで腟内に指を入れたり、強く摩擦しないことを前提として、yoiの記事で取り上げられている方法を参考に行なってみてください。

セックスのお悩み

Q39:性交痛があるのですが、原因と対策を教えてください。

A:原因も対策も多種多様。婦人科で相談してみましょう

吉本先生:性交痛は恐怖心によって痛いと感じているだけのケースや、もともと腟口が狭いケース、子宮内膜症のような婦人科系疾患が原因で痛いケースなど原因はさまざま。対策としては潤滑ローションで滑りをよくしたり、セックスの体勢を工夫したりすれば改善されるかもしれませんが、濡れにくい体質というパターンもあるので、一度婦人科で相談してみるとよいですね。
あまり知られていないのですが、性交痛があるという悩みで婦人科を受診するのはわりと一般的。「パートナーに申し訳なさを感じて痛みを言い出せない」、「痛いのは自分が悪い」と責めてしまう人が非常に多いのです。また子宮内膜症などの病気が隠れている可能性を踏まえて、早めに受診するのが得策です。

Q40:パートナーに腟がゆるいと言われます…。きつくすることはできますか?

A:骨盤底筋を鍛えれば改善されます

吉本先生:腟のゆるみは、骨盤底筋のトレーニングを行えばキュッと締まりをよくすることができます。しかし、「腟がゆるい」というのは男性側の一方的な意見であるとも考えられます。なぜなら女性にとってセックスは、腟が多少ゆるいほうが気持ちよさを感じやすいから。腟がきつく締まっているほうがいいという俗説は、男性側の主観がもたらしたものです。

Q41:腟がきつすぎて男性器が入らないことがあります。なにか原因はあるのでしょうか?

A:体の構造的な問題や前戯不足が原因かも

吉本先生:腟口が狭い人は出産時もなかなか膣が広がらなくて大変です。体の構造が原因だと腟口を広げるのは少々難しいのですが、腟内は粘膜で柔らかいため、努力次第で入りやすくできると思います。
セックスの際は時間をかけて前戯を行い、腟口を指でじっくり優しく広げて、女性側が気持ちよくなるようにパートナーのサポートが重要です。自分で日頃からゆるみやすくしたいならば、セルフプレジャーやお風呂場で優しくマッサージするのも効果的。あとは「入らなかったらどうしよう」など心理的に緊張していると体もガチガチにこわばって腟がゆるみにくくなるため、なるべくリラックスしながらパートナーとコミュニケーションを取りましょう。

Q42:濡れにくく、乾きやすいのが悩みです。対策はありますか?

A:興奮状態を保ちつつ、アイテムを上手に活用してみるとよいかも

吉本先生:濡れにくさにも、乾きやすさにも個人差があります。それを踏まえたうえで、滑りをよくする潤滑ローションや腟に注入するタイプのローションで代用してみるのはいかがでしょうか。
興奮が冷めると乾いてくる人もいるので、パートナー側の前戯にも工夫が必要かもしれません。女性側の気持ちが盛り上がっているうちに挿入するなど、相手の状態に合わせて動くのが大切。ほかにも、体が冷えると乾くのが早いとも言われているので、一緒に入浴して体をしっかり温めたり、足もとに布団をかけて冷えないようにすることで対策できるはず!

Q43:腟への挿入が気持ちよくないと感じるのはおかしいでしょうか?

A:おかしくありません。挿入以外で快感を得やすいだけかも

吉本先生:腟への挿入が気持ちよくないというより、挿入以外の行為のほうが快感を得やすいのかもしれません。挿入だけにこだわらず、パートナーと話し合って別の方法を模索するよう考え方をシフトしてもいいと思いますよ。避けてほしいのは、本当は痛いのに気持ちいいフリをしたり、パートナーの要求がつらいのに我慢してしまうこと!
どうしても挿入にこだわるなら、腟内のどこかに気持ちいいと感じるスポットがないか、一緒に探り合うのもひとつの手段。それ自体にも抵抗があるならば、どういった行為で快感を感じるかコミュニケーションを取ってみましょう。触れ合っているだけで十分なのか、射精が目的なのか…。お互いに理解し合うことが気持ちよさにもつながります。

Q44:激しいセックスや回数が多すぎると、腟が傷むことはありますか?

A:傷みます!

吉本先生:濡れていない腟に触れれば粘膜が傷つきますし、回数が多いほど摩擦ダメージが増えて負担になることもあります。腟内は粘膜なので、内部が傷むと感染症を起こす可能性が。性交後しばらく経っても痛みがある場合は負担になっているので、気持ちいいと感じる程度に方法や回数をコントロールしていきましょう。

Q45:セックス後、おりものに血が混ざることがあります。大丈夫でしょうか?

A:継続して出血があるなら要注意

吉本先生:性交時の刺激で一時的に腟内から出血しても、時間が経てば自然とおさまります。性交後のおりものに血が混じった状態が数日続くほか、継続的に出血するようならば子宮内で感染症を起こしている可能性があります。放置せずにすぐに婦人科へかかりましょう。

Q46:知っておくべき、性感染症のサインを教えてください。

A:おりものの変化、性交時の急な痛み、皮膚病変などがおもなサイン

吉本先生:性病(性感染症)はセックスにより感染し、あらゆる症状を引き起こします。それだけでなく銭湯やプールからの感染、免疫力の低下で発症することも。自己判断が難しい&自分で治すことはできないので、必ず婦人科で相談を! 代表的な性感染症のサインをいくつかご紹介します。

【性器カンジダ】
陰部のかゆみ・発疹、おりものの変化(色、質感、量、におい)、性交痛

【性器クラミジア】
おりものの変化(色、質感、量、におい)、不正出血

【性器ヘルペス】
外陰部や腟の不快感、かゆみ、痛み、水疱、びらん

【梅毒】
皮膚の発疹・ただれ、リンパ節の腫れ、口内のただれ・しこり

出産後のお悩み

Q47:お風呂に入ると腟に水がたくさん入るようになってしまいました。対策はありますか?

A:骨盤底筋を鍛えましょう

吉本先生:出産時は腟壁が大きく引き伸ばされ、腟内は広がります。産後はある程度までは元に戻りますが、完全に出産前の状態に戻ることはなく、腟がゆるみやすくなっています。骨盤底筋を鍛えて腟を締める意識をすれば改善されるはず!

Q48:尿もれがひどいです…。予防策があれば教えてください!

A:骨盤底筋トレーニングのほか、薬による治療もあります

吉本先生:尿もれで悩む人のほとんどは、妊娠・出産経験者です。くしゃみや重いものを持ち上げたときなど腹圧がかかったときに尿もれは起こりやすいため、骨盤底筋を鍛えるのが有効とされています。
骨盤底筋のトレーニングでも改善が見られない人は、女性泌尿器科で一度相談してみるとよいでしょう。診察したうえで症状に合う投薬治療やレーザー治療の提案を受けられると思います。

Q49:セックスで潮を吹きやすくなってしまったのですが、出産となにか関係はありますか?

A:腟内の形状が変化し、スキーン腺が刺激されやすくなったのかも

吉本先生:腟の内側から、尿道口付近にある「スキーン腺」を刺激すると潮を吹きやすいとされています。出産後に腟の角度や広さが変わることで、スキーン腺に刺激が与えられやすくなったのかもしれません。
ちなみに潮の正体ははっきりと解明されておらず、尿であるという説と、性的興奮を受けたことによる分泌液であるという説があります。

Q50:会陰切開の跡が気になります。治すことはできますか?

A:完全に治すことは難しい

吉本先生:出産時の会陰切開後、小陰唇の形がいびつになってしまったり、傷が引き攣って痛いといったことがあれば、もう一度切って縫い直す外科的対処はできます。しかし、だからといってきれいに治るとも言い切れません。出産時と同じように切って縫うことに変わりはないのです。おこなうかどうかは日常生活でどの程度気にしているかによるため、診察時に話を聞いて治療の必要性を判断します。

取材・文・イラスト/井上ハナエ 企画・編集/木村美紀